山の相続放棄について
1 山だけを相続放棄することはできない
相続放棄は「特定の財産だけ」を放棄することはできません。
つまり、一度相続放棄をすると、その人はすべての財産(プラスの財産もマイナスの財産も)を一切相続できなくなります。
⑴ 相続放棄が有効なケース
・相続財産が山だけで、他に財産がない場合
・山以外に借金などのマイナス財産しかない場合
このような場合は、相続放棄をしても問題ありません。
⑵ 相続放棄に注意が必要なケース
一方で、山以外に預貯金や自宅などのプラスの財産がある場合には注意が必要です。
相続放棄をしてしまうと、それらのプラスの財産も一切相続できなくなります。
そのため、「山はいらないけど預貯金は相続したい」というような選択はできません。
2 他の親族に相続が移る点にも注意
相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったものとみなされます。
すると、次の順位の親族が新たに相続人となるため、結果的に別の親族が山を相続してしまう場合があります。
<具体例>
たとえば、夫が亡くなり、妻・長男・次男の3人が相続人だった場合を考えます。
長男と次男が相続放棄をすると、夫の親や兄弟姉妹などが次の順位の相続人として繰り上がり、妻と一緒に相続することになります。
この場合、夫の親や兄弟姉妹も山を相続したくないのであれば、それぞれが相続放棄の手続きを取る必要があります。
3 山を手放すための方法
「山を相続放棄できない」「他の親族も放棄してしまった」などの事情がある場合でも、山を手放す方法はいくつかあります。
⑴ 相続土地国庫帰属制度を利用する
令和5年4月27日にスタートした新しい制度で、一定の条件を満たすことで、相続した土地を国に引き取ってもらうことが可能です。
詳しくは、法務省の公式サイト「相続土地国庫帰属制度について」をご参照ください。
参考リンク:法務省・相続土地国庫帰属制度について
⑵ 贈与や寄付を検討する
現実的な選択肢としては難しい面もありますが、隣接する山の所有者に譲渡したり、自治体などへ寄付したりする方法も考えられます。
4 山の相続放棄は慎重な判断を
山の相続放棄は可能ですが、「山だけを放棄する」ことはできません。
また、他の親族に相続が移る可能性もあるため、放棄の前に家族でよく話し合うことが大切です。
相続放棄や国庫帰属制度の手続きは複雑なため、迷ったときは相続に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。



























