相続放棄をする場合の納骨の費用
1 納骨費用を支払った場合の相続放棄への影響
相続が発生すると、通夜・告別式・火葬に続き、納骨や法要の準備が必要になります。
その際、「納骨の費用を遺産から支払ってしまうと、相続放棄ができなくなるのではないか」と不安に感じる方も少なくありません。
相続放棄を検討している場合、こうした支出が法的にどのように評価されるのかは、非常に重要な問題です。
2 納骨費用と「相続財産の処分」の関係
結論として、社会通念上相当と認められる範囲の納骨費用であれば、遺産から支出した場合であっても、直ちに相続放棄が否定されるわけではありません。
民法921条1号では、相続人が相続財産を処分した場合には、相続を単純承認したものとみなすと規定されています。この単純承認があった後は相続放棄をすることができません。
しかし、すべての支出がただちに「処分」に該当するわけではありません。
納骨は、葬儀と同様に社会的・宗教的な必要性のある行為であり、火葬や埋葬と一連のものとして扱われるため、そのための相当な支出は、例外的に許容されると解されています。
具体的には、納骨作業に直接必要な費用、霊園や寺院に支払う通常の納骨料や管理料などは、相続財産の処分とは評価されにくいと考えられます。
3 単純承認と判断されやすいケース
一方で、新たな墓地の購入、新たな墓石の建立、過度に豪華な法要の実施などは、納骨の範囲を超えた処分行為とみなされる可能性があります。
また、預貯金を引き出して自己の口座に移し、使途を明確に説明できない場合には、相続財産の処分と判断され、単純承認と評価されるおそれが高くなります。
この場合、相続放棄が認められず、被相続人の負債を含めて相続する結果となる可能性があるため、十分な注意が必要です。
4 実務上の注意点
実務上、相続放棄を視野に入れている場合には、納骨費用の支出を必要最小限にとどめ、すべての領収書や明細を保管することが重要です。
また、可能であれば自己資金で立て替えるか、やむを得ず遺産から支払う場合でも、相続人個人の口座を経由せず、寺院や霊園、業者に直接支払う方法を選択することが望ましいでしょう。



























